【中国語とスペイン語はどちらの方が難しい?】検定試験で徹底比較

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この度、中国語検定4級に無事に合格し、初心者ながら中国語とスペイン語両方の基礎検定資格を有することになりました。

そこで私の個人的な判断になりますが、ここまで勉強してきた中国語とスペイン語ではどちらの方が難しいのか、検定試験も踏まえてじっくり比較してみたいと思います。大学時代の第二外国語を選択する際の参考にもなれば幸いです。(ちなみに私は理学専攻でしたが、スペイン語を選択して2年間のんびりと勉強していました。)

中国語の特徴

日本のお隣、中華人民共和国の公用語で、母語話者としては世界最大の約13億人が日々中国語を使っています。日本との距離も近くて観光客が多いので、日本にいて英語の次に耳にしやすい外国語かと思います。

またビジネスの面でも中国と取引をしている日本の企業は非常に多いです。将来ふとした時に、思いがけず役に立つ可能性が高い言語が中国語になります。

中国語の学びやすい点

所説ありますが、英語圏の人からして最も習得が難しい言語と言われるのが中国語です。その理由は、

  1. そもそも覚える文字が非常に多い
  2. 四声と呼ばれる発音ルール

にあります。ただし、日本人は漢字を小学生の頃から学んでいることによる大きなアドバンテージがあるため、一点目の文字の難点はむしろ学びやすいポイントになります。(簡体字への置き換えは必要ですが、)

また、中国語では時制が省略され、動詞の語尾活用が存在しないことも学びやすいポイントです。例えば、「〇〇は東京に行く」と言いたければ、

【過去】
我 昨天 去了 东京。(私は昨日東京に行った)

【現在】
我 今天 去 东京。(私は今日東京に行く)

【未来】
我 明天 去 东京。(私は明日東京に行く)

というように、完了の「了」はありますが、簡単に活用させることができます。もちろん、二人称や三人称でも変化はありません。

你/他 昨天 去了 东京。(あなた/彼は昨日東京に行った)

你/他 今天 去 东京。(あなた/彼は今日東京に行く)

你/他 明天 去 东京。(あなた/彼は明日東京に行く)

ちなみにですが、スペイン語になるとこれが一変します。主語は省略しても良いのですが、その分動詞を主語に合わせて活用させる必要があるので、

【過去】
(yo) fui a tokio ayer.(私は昨日東京に行った)
(tú) fuiste a tokio ayer.(君は昨日東京に行った)
(él) fue a tokio ayer.(彼は昨日東京に行った)
(nosotros) fuimos a tokio ayer.(私たちは昨日東京に行った)
(vosotros) fuisteis a tokio ayer.(君たちは昨日東京に行った)
(ellos) fueron a tokio ayer.(彼らは昨日東京に行った)

【現在】
(yo) voy a tokio ayer.(私は今日東京に行く)
(tú) vas a tokio ayer.(君は今日東京に行く)
(él) va a tokio ayer.(彼は今日東京に行く)
(nosotros) vamos a tokio ayer.(私たちは今日東京に行く)
(vosotros) vais a tokio ayer.(君たちは今日東京に行く)
(ellos) van a tokio ayer.(彼らは今日東京に行く)

【未来】
(yo) iré a tokio mañana.(私は明日東京に行く)
(tú) irás a tokio ayer.(君は明日東京に行く)
(él) irá a tokio ayer.(彼は明日東京に行く)
(nosotros) iremos a tokio ayer.(私たちは明日東京に行く)
(vosotros) iréis a tokio ayer.(君たちは明日東京に行く)
(ellos) irán a tokio ayer.(彼らは明日東京に行く)

というように、「ir(行く)」という動詞を6種類の人称区分×時制で的確に活用させなくてはなりません。そう考えると、中国語の文法がいかに覚えやすいかが明らかです。

中国語の学びにくい点

中国語を話す・聞くにあたって一番の障壁になるのは、ピンインと呼ばれるローマ字表記した発音記号と、音の上げ下げを示す声調四声)です。声調によって言葉が変わってしまうので、例えば「ma」という音の単語でも次のように意味が全く違ってきます。

第一声( ̄)「妈(母)」
第二声(/)「麻(アサ)」
第三声(_/)「马(馬)」
第四声(\)「骂(罵る)」

※声調の記号はイメージです

日本語で言えば「雨」と「飴」のような違いですが、それがすべての単語にあるので、一から習得するにはなかなか骨の折れる勉強です。

ただし、中国語検定4級(一般大学の第二外国語において1年以上の学習程度)のレベルであれば、声調がなんとなくわかる程度でも、単語さえ聞き取れればリスニングはギリギリ合格できます。スピーキングテストも無いので、ピンインと声調がマスターできてなくても一応は問題ありません。

中国語の学びやすい点:漢字から簡体字を推測できること、文法が覚えやすい

中国語の学びにくい点:ピンインと声調が難しい

スペイン語の特徴

スペイン語は、スペインと南米のほとんどの国(メキシコ、コロンビア、アルゼンチンなどの旧スペイン植民地)における主要言語です。スペイン語を第一言語とする人は約4億8000万人、第二言語として日常的に使用している人を含めると、世界で約5億7000万人の話者がいると推定されています。

インターネットの利用者としては世界の8%を占めると言われ(日本語は約3%)、英語と中国語に次いで三番目に世界で利用されている言語になります。

スペイン語の学びやすい点

先ほどは動詞の活用の多さからスペイン語の難しい点を紹介してしまいましたが、もちろんスペイン語にも勉強しやすいポイントはあります。

まず一つが、使われる文字がほぼアルファベットなので、英語の延長線として勉強できることです。中国語の簡体字は漢字から連想できる文字もありますが、結局一から覚える必要がある文字もたくさんあります。一方でスペイン語であれば英語のアルファベット+αなので、すぐにでも書くことができます。

もう一つは、書ければすぐ話せることです。英語の影響もあり、アルファベット=発音が難しいと思われがちですが、スペイン語の母音は日本語と同じ「a」「e」「i」「o」「u」の5種類だけで、発音はアルファベットの表記通りになります。

例えば英語では単語に応じて「a」も「u」も「o」も日本語で言う「ア」になりますが(その上発音が微妙に違う)、スペイン語の「a」は必ず「ア」と読みます。

【英語】どれも「ア」と読む(だけど発音は微妙に違う)
cat: 猫 [kæt]
cut: 切る [kʌt]
cot: 簡易ベッド [kɑt]

【スペイン語】「a」は(ア)、「u」は(ウ)、「o」は(オ)
casa: 家 [ká sa(サ)]
cuatro: 4 [kwá tro(アトロ)]
comer: 食べる[ko mér(メール)]

書ければ読めたも当然なので、単語と動詞の活用さえ覚えてしまえば、読み書き話し聞き全てができるようになります。母音が日本語と同じということは、日本人にとって学びやすい大きなポイントです。

スペイン語の学びにくい点

既に紹介の通りですが、スペイン語を学ぶ上で一番大変なのは、動詞の活用の多さです。

まず、動詞は主語に応じて6種類(私、君、彼/彼女/あなた、私たち、君たち、彼ら/彼女ら/あなた達)に活用します。スペイン語では主語が頻繁に省略されるので、誰の動作なのかを判別させるためにも、動詞を正しく活用させなくてはなりません。

さらに、動詞は時制に応じても変化させる必要があります。規則活用の「hablar(話す)」という動詞を例にとると、このように活用します。

私たち君たち彼ら5級4級
現在hablohablashablahablamoshabláishablan
点過去habléhablastehablóhablamoshablasteishablaron
線過去hablabahablabashablabahablábamoshablabaishablaban
未来hablaréhablaráshablaráhablaremoshablaréishablarán
過去未来hablaríahablaríashablaríahablaríamoshablaríaishablarían
接続法現在hablehableshablehablemoshabléishablen
命令hablahablehablemoshabladhablen

一応は活用ルールがあるので、全ての動詞ごとに活用を覚える必要はありません。しかし、不規則動詞と呼ばれるルールから少し外れた動詞もあるので、動詞の活用を使いこなすまでが大きな障壁になります。

ただし、スペイン語検定5級(一般大学の第二外国語においてスペイン語の授業を約100時間以上の学習程度)であれば、未来や接続法の活用までは覚える必要がありません。

スペイン語の学びやすい点:アルファベットで母音は5種類、文字に従って発音すればOK

スペイン語の学びにくい点:活用が多すぎる

ここまでのまとめ

長くなってしまったので、一度中国語とスペイン語の特徴をまとめてみましょう。

中国語スペイン語
母国語和者数約13億人約4億8000万人
インターネット利用者23%(2位)8%(3位)
学び易い点・文法が覚えやすい
・簡体字を漢字から推測できる
・アルファベットで母音は5種類
・文字に従って発音すればOK
学び辛い点・ピンインと声調が難しい・活用が多すぎる
備考中国語検定4級であれば、おおよその声調が分かればOKスペイン語検定5級であれば、動詞の活用はそれほど覚えなくていい

検定試験の比較

ではここからは、検定試験の特徴を踏まえて、中国語とスペイン語の難しいところと簡単なところを比較してみましょう。

中国語検定は準4級スタート、スペイン検定は6級スタートなので、中国語検定4級とスペイン語検定5級が一般大学の第二外国語にとして1年以上勉強した際の習得基準になります。

中国語検定4級スペイン語検定5級
認定基準平易な中国語を聞き、話すことができる日常生活において平易な受け答えが可能
試験回数年3回(3、6、11月)年2回(6、12月)
受験料4,800円5,000円
試験方式マーク+筆記(中国語訳)マークシートのみ
リスニング
語彙数常用語約1,000語約1,000語
過去問〇(公式HPで公開)×(新試験以降は入手が困難)

年間の試験回数は、中国語検定が3回(3、6、11月)に対し、スペイン語検定は2回(6、12月)となります。受験料は両者ともに約5000円です。

試験方式としては中国語検定にのみ筆記問題があり、日本語⇒中国語の翻訳が問われます。とはいえ過去問を見ての通りですが、中国語にして5~10文字程度の記述なので、難易度は親切に調整されています。また、両試験ともにリスニング問題があり、覚えるべき語彙数は約1000語です。

そして、中国語検定とスペイン語検定を比較して一番大きな違いは、過去問の入手難易度です。中国語検定は公式HPで正答と合わせて公開されているので、(リスニングはできませんが)簡単に過去問演習を実施できます。

一方で、スペイン語検定は2021年に改訂されて以降は受験ごとに問題用紙も回収され、過去問を使った演習が全くできなくなっています。中国語と比べると参考書が少ないことも相極まって、独学で勉強する難易度がとても高くなっています。

まとめ

世界で利用されている言語第二位の中国語と、第三位のスペイン語を学び易い・辛い点から比較してみましたが、どちらにも日本人ならではの勉強しやすさがあります。

単純な難しさでは甲乙つけがたいので、第二外国語のように中国語かスペイン語のどちらか一方を選択しなくてはならないという時は、ご自身の興味や旅行の志向などをもとに判断されることが良いかと思います。

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